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…?
『いや、…いや。いくらなんでも。私もう小6なので…。』
ああ、だめだ。
死のうとしていた私が身に危険を感じるのもおかしな話だが、これは、ダメなやつだ。
頭のおかしな、危ない人だ。
「自殺を図るような馬鹿が中学生になるだなんて世も末だね。」
色んな意味で危ない。
逃げねば、と身震いの止まらぬ身体を持ち上げて、そそくさとこの場を離れようとしたとき、男はヤレヤレとサングラスに指を掛けた。
遠慮がちにずらされたサングラスの、奥____
___私は、見てしまった。
『…っ?!』
比喩ではない、本当の暗闇を。
男の瞳の中には、永遠の暗闇が続いていた。
人間のモノとは明らかに違う、白目も黒目もない引き込まれるような黒一色。
「たぶん今、黒いでしょ。お腹空いてるよ〜って意味。」
男はすぐにサングラスをかけ直して、こちらにピースサインを向けた。
「だからさ、あまり命を無駄にされるのは困るっていうか。死ぬくらいなら僕がほしいっていうか。」
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