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そんなジルとは対照的に、語られる話のどれもが私にとっての非日常で、ギラギラと光って見えた。
決して綺麗で心地よいものではない、強烈な光だ。
どこかで読んだ漫画のような彼の人生史は、私のくだらない人生を無かった事にしてくれるように感じた。
誰にも言ってはいけないよ。
ジルはいつもそう言うけれど、誰が人に言うものか。
この秘密は、私の宝物だ。
簡単に他人が触れていい代物ではない。
汚いと私を罵り蹴るあの子も、見て見ぬふりする先生も、
私の髪は掴むためにあると思っているお父さんも、謝れば許されると思っているお母さんも、吸血鬼の友達はいないでしょう?
運命を受け入れ静かに生きる彼は、今まで出会ってきたどんな大人たちよりもかっこいい。
ジルは誰にも言えない私の宝物。
このときの私は、彼に対するこの感情が友情か恋か、何が何だか分からなくなっていた。
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