7章:誓言

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 目が覚めたのは、早朝だった。  隣に寝ていたのはもちろん羽柴先輩。  羽柴先輩の顔を見ると、昨夜のことを思い起こして泣きそうになる。  羽柴先輩、確か、ずっとしてないって言ってたよね。しかもこれまで12年間不能だったって……。  それならきっと、久しぶりだし、きっと気軽な、肩慣らしのような、そんな一夜だと勝手に思ってたけど、そんなのとは全然違うって思った。  先輩は今まで見たことないような男の人の顔で、やけに心臓がバクバクしたし、自分の意思とは別に身体が勝手に反応した。先輩の背中に何度も爪を立ててしまって、先輩はそんなことすら嬉しそうに笑って、それからまた同じように何度も何度も、私の身体に自分を覚えこませるみたいに愛し合った。  まさか自分があんな風になるなんて想像もしてなかった。  もうだめだ……。  これからまさかあんなこと何回もするなんて絶対無理。ちょっとでも思い出すだけで恥ずかしすぎて無理。  それに一夜だけでも数えきれないほどしているのに、結婚でもしようものなら、これがどれだけのペースで、どれくらいの年月続くのだろう。たぶん恥ずかしくて心臓が三日も持たない。確実に死ぬ。  そして確実なことはもう一つ、先輩とこういう事するのを含めて、平穏な、平和な日常から一番離れたところに連れていかれるような気がするのだ。
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