7章:誓言

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 私は熱くなる顔を叩き、決心してシーツを自分の身体にぐるぐると巻き付けると、ベッドを這いだす。  もう恥ずかしくて、羽柴先輩と顔なんて合わせられない。 ―――逃げよう。  とにかく先輩の家のカードキーを素早く置いて、着替えて、ここから出て、 それからゆっくり考えたいのだ。自分の今後について……。  私はそう思うと歩き出した。まっすぐ歩けない自分の身体にいちいち恥ずかしくなる。 自分のカバンを探し、見つけるとカバンの中からカードキーを取り出した。よし、あとは、これを置いて、着替えて、帰るだけだ。  そっとリビングの端にあるチェストの上に置こうとしたとき、 「みゆ、何してるの?」 と声が聞こえて、びくりと体を震わして見上げると、隣に羽柴先輩立っていた。  ズモモモ、という効果音が聞こえそうなほど、紫色のオーラを放って。 (なんだか怒っていらっしゃる……? 何で⁉) 「え、えぇ……っと、先輩?」 「まさか俺に気づかれないようにカードキー置いて帰ろうとか、考えてないよね?」 「いや、まさか」  そう言ったけど、声が裏返った。  それに先輩の眉が不機嫌そうに動く。 「ふうん」  もう何もかもがいたたまれないので、助けてください。と言いそうになる。そのとき、ひょいとそのまま抱き上げられ、ベッドに強制送還された。泣きそうになって羽柴先輩を見上げると、先輩は困ったように息を吐いて、 「まだきちんと歩けない癖に。あとで家まで送るからちゃんとここにいて」 と言う。目の前に裸の先輩の身体があって、またそれも恥ずかしさを増長させるので、私は目をそらす。明るいから余計に目に毒だ。 「でも、もう外は明るいし」 「うん? 朝だから明るいの当然だよね?」 「着替えるから。着替えるまでこっち見ないでください」 「もう見たよ、全部」 「っ! それでも見ないで!」  私が言うと、羽柴先輩は、まったくもう、と私の頭を軽く叩いた。  うぇええええん! もう見ないで、昨日の夜の出来事もオールデリートして!  恥ずかしすぎて、ほんといたたまれない。いますぐ逃げたい。そんな衝動が頭をめぐる。  なのに羽柴先輩は絶対に逃さないと言うように私を抱きしめると、 「できるだけセーブしたつもりだったけど、ごめんね」 と耳元でささやいた。  だめだ、ここにいたら、色々と爆発する。  心臓とか、脳とか、顔とか、そういう何かしらが木っ端みじんになりそうだ。
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