1章:最悪な再会とあの日の続き

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「失礼いたします。総務部、柊みゆと申します」  ぺこりと頭を下げて部屋に入ると、3名の男性が目の前の机に並んで座っていた。  一人は笹井部長とあまり変わらないくらいの年齢のホウオウ総務部長、そして、きっと、もう一人の若そうな男性が先ほど成美がイケメンだと言っていた鳳凰グループ副社長で、もう一人弁護士バッチをつけてる人が……。 「羽柴……先輩?」  私はその弁護士を見て、思わずつぶやいていた。  黒髪に銀縁眼鏡の下の切れ長の目元。身長は高校の時からすでに180はあったけど、今はさらに少しだけ大きく見える。 (まさか……。人違い、だよね?)  そう思ったとき、 「みゆ……」 と座っていた男性弁護士がこちらを見て言う。 (やっぱり羽柴先輩じゃないかーーー!)  私が思わず青ざめると、羽柴先輩の横にいた若い副社長が、え、二人知り合い? と楽しそうに笑った。羽柴先輩は、あぁ、と低い声で頷く。  その声に、ひゅっ、と小さく息を吸い込む。それはまさしく羽柴先輩の声だったから。  突然のイレギュラーに私の頭は混乱に混乱を極めた。 (落ち着け……! 落ち着け、私!)  私は叫びだしそうになりながら、ニコリと平和な笑顔を装う。もうシャツの下は汗だくだし、なんなら掌も汗だくだ。今すぐ走って帰って、シャワー浴びて、すべて忘れたい……!
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