7章:誓言

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 私は先輩の身体をぐっと押すと、 「も、も、も、もう帰ります。お父さんも心配するし!」 と叫ぶ。でも先輩は抱きしめることを全く辞めてくれない。  そのままクスクス笑って、 「それは大丈夫、連絡した」 と言う。 「えぇ……いつの間に」 「みゆが途中で疲れて休憩したいって寝たでしょ。その間に、水とか朝食とか、追加のあれとか、買いに行ったときついでに電話しておいた」 「今、その買い物したものの解説いります⁉」  顔を真っ赤にして叫ぶと、先輩は楽しそうに笑った。  くそう、いじめっ子か。  泣きそうになっていると、先輩はしみじみと、 「すごいよねぇ、12年分の気持ちって。あんなに貪欲になるなんて思いもしなかった。学生時代もこんなことなかったのに。なんだか自分でも感動しちゃった」 「……」 (私はまた何の告白を聞かされているのだろう……)
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