7章:誓言

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 結局その日はそのまま送ってもらって、家に入ると、ちょうど父が仕事に出るところだった。  羽柴先輩は父の前に行くと、まっすぐ頭を下げ、 「娘さんを一晩お借りしてしまい、申し訳ありませんでした」 と言う。  ちょ、ちょっと待って、なにそれ。  なんだかそれはそれですっごく恥ずかしいんだけど……。  私が困っていると、 「羽柴先生と一緒なら安心だと思ってるから」  父はそんなことを言って笑う。  安心じゃない。全然安心じゃない。  そう言いたいけど、昨夜のこともあってそう言えない。  私はまたいたたまれなくなって、もう部屋に行くから、とその場を後にした。  そのとき、羽柴先輩が、みゆ、と声をかけてくる。  振り向かずに、なんですか、と冷たく答えた。 「明日、予定ある?」 「明日は日曜なので一日家です! 洗濯も掃除もしたいし!」 「そう」  そのまま私は部屋への廊下を歩く。  でも、やっぱりまだ変な動きになっていて、それを隠すために懸命に堪えて歩いた。  やだ、なんでこうなるの……? やっぱり恥ずかしくて泣きそう。
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