8章:交際スタート

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 キッチンにいたのは、いつも通り花柄のエプロンをして卵焼きを焼く父。  父は楽しそうに笑うと、おはよう、と言った。 「ちょっと鯉の世話係が先輩ってどういうこと? いや、そもそも私の部屋に勝手に先輩をいれないでよ!」  そんなことを叫んでいる時に後ろから先輩がやってくる。  父はまた笑うと、 「お世話係なんて小学校の頃を思い出すよねぇ」 と言い出す。それに先輩は、 「あ、俺はウサギの世話係してました」 「僕もだよ、奇遇だね」 「何、ほのぼの家族みたいな会話してるのよ!」  私はテーブルをバシンとたたく。完全に怒りに打ち震えていた。  嫁入り前の娘の部屋に非常に危険な男を入れた父も父だ……。しかも父は刑事で危機管理能力は誰よりもあるはずなのに! 何考えてんのよ!  それに先輩も先輩だ。何の許可もなしに、勝手に朝からあんなバカみたいに濃厚なキスするなんて考えられない!  少なくとも今までは、私がいいって言うまで、なにもしてこなかったはずだ。 (なのに、どうして……⁉)
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