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先輩は、怒る私に向かって、
「ほら、早く着替えないと遅刻じゃない?」
と悠々と言う。時計に目を向けると、いつもの起床時間を30分すぎていた。
「って、なんで目覚ましならなかったの⁉」
「俺が止めた」
先輩が言う。
「はぁ⁉ なんで?」
「気持ちよさそうに寝てたし、ほら目覚ましより目覚めのキスの方が目覚めよさそうだから」
「いいわけあるかぁ!」
そう言いながら慌てて部屋に戻ると、すぐに着替えて、リビングに走る。
おかずの既に置かれたテーブルに座ると、
「はい、ごはん」
と白米の入った茶碗が先輩から手渡された。
「ありがとうございます」
そのままご飯をかき込むように食べ、おかずに手を付ける……ところでおかしなことに気づく。
「……って、なんで先輩が普通に朝食を渡してくるんですかーーーーー⁉」
そう。先輩はいつの間にか、新妻のように我が家になじんでいる。
ってなにやってんだ! あなたの仕事は『鯉の世話』だけでしょうが!
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