8章:交際スタート

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 私が怒っているというのに、なぜか突然、先輩は私の頬を右手で触る。  その手の熱にあの夜のことを思い出して、ビクンと身体が跳ねると、先輩は満足そうに笑った。  私は黙り込む。  やめて、もう思い出させないで。なんだか、落ち着かないしおかしくなりそうでいやだった。泣きそうになると、先輩は私の頬から手を離して、 「ほら、ご飯粒ついてた」 と私にご飯粒を見せると、それをパクリと自分の口に入れた。 「~~~~~~~~‼」  キッチンから、僕もそういう時期あったなぁ、と父の懐かしむような声が聞こえる。 (お父さんにもしっかり見えてるし!)  なに、これ。これ、何の罰ゲーム?  私が言葉に詰まっていると、先輩はまた楽しそうに笑った。
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