8章:交際スタート

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 いたたまれなくなった私は立ち上がり、そのまま無言で出勤の用意を進めて、 「行ってきます!」 と玄関に向かう。玄関先まで先輩もやってきて、 「みゆ、一緒に……」 「遅刻しても一緒には行きません!」  私は先輩の言葉をぴしりと遮ると、じゃ、と行こうとする。  そんな私の手を先輩は強引に引っ張った。 「じゃ、これだけいい」  そう言われて、またキスをされる。思わず抵抗しても、まったく聞き入れてくれず、そのまま長く深いキスをされた。  頭がゆだるような熱いキスに意識が飛びそうになった時、やっと先輩の唇が離れる。先輩は、甘いとろけるような目で、こちらを見ていた。 「な、な……!」  私はもう言葉にならない声しか出ない。  先輩はにこりと笑うと、行ってらっしゃい、と微笑んだ。 「くっ……!」  泣きそうになった私は言ってきますとも言わず、そのまま走り出す。  あの朝、身体を重ねた日の朝、絶対恥ずかしくて今後先輩と顔を合わせられない、と思っていたけど、あれから半強制的に毎日のように先輩と顔を合わせることになっている。 (なんだ、なんなんだーーーーーー! 一人で恥ずかしがる暇すら与えてくれないのか!)  叫びだしたい気持ちを抑えて私はバス停まで全速力で走った。
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