8章:交際スタート

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 会社に行ってみると、昼休み、宮坂さんランチに誘われた。ちょうど今日はお弁当を持ってき忘れたのでよかったが……。  一緒に会社の食堂に行くと、初めて来た食堂は明るく、人数も多い。メニューも10種類以上あって豊富だ。さすが大企業だと感心してしまう。そもそも、前の会社は食堂なんてなかったし、今までは自席でのボッチ飯だったので食堂のなにもかもが新鮮だった。  宮坂さんと同じ日替わり定食を頼んで、定食の載ったトレーを持って一緒に席に着く。 「で、どうだったの?」  席に座った途端、宮坂さんは言う。  思い当たるところはないこともないが、私は、 「……な、何のことですか?」 と聞いてみた。  すると宮坂さんは確信を持った顔で、 「羽柴先生としたんでしょ」 「み、宮坂さん、エスパーか何かですか……」  私が泣きそうになって返すと、宮坂さんはスマホを私に見せた。 「彼から『今日、とんでもなく羽柴先生の機嫌がいい』ってメール来てたから」  見せてもらった新田先生からのメールには確かにそんなことが書いてある。 「……先輩め!」  なによ! なに⁉ 機嫌がいいって!  みんながわかるほど機嫌がいいって何なのよ!  恥ずかしい。すごく恥ずかしい! バレバレすぎる。  そんなことで先輩は本当に有能な弁護士なのだろうか。私は絶対に先輩なんかに弁護を依頼しないぞ! とにかく、今すぐどこかの穴に逃げ込みたい気持ちになった。
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