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私が泣きそうな顔になっていると、宮坂さんは呆れたように息を吐く。
「何、その反応。普通、もっと喜ぶでしょう。それとも羽柴先生、意外にドヘタだったの?」
「ぶっ……!」
落ち着こうと思って飲んだお茶を吹き出す。
すると、もう、と怒ったように宮坂さんはハンカチを出してくれた。申し訳ないけど、そもそもこれ、ほんとに私が悪い案件ですかね?
「下手とか上手とかわかるわけないですよ」
「どう感じたかだけでしょう。気持ちよくなかったわけ?」
「それは……」
あの夜を一瞬で思い出してしまって、真っ赤になって黙り込んで下を向くと、宮坂さんはニヤリと笑った。
「その反応でわかったわ。先生、さすがね」
「ちょ、それ……やめてくださいぃいいい……」
高校の時もこの手の話題がなかったことはなかったが、まさか自分が当事者になるとは思ってもなかった。新手のセクハラだ。これだから女子の昼の会話ってやつは油断ならない……!
そう思って泣きそうになっていると、
「いいじゃない。相手、羽柴先生なんだし。先生も嬉しそうだし」
と宮坂さんはあっさりと言う。
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