8章:交際スタート

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「そもそも私たち、付き合うことになったんでしょうか……?」 「え……そこから?」  私は意を決して宮坂さんに話し出す。 「それもよくわからないのに、先輩があれから……今までと違って私もちょっと戸惑ってるんです」 「え?」 「今までは、絶対に私がいいって言うまでは、何もしてこなかったんですけど」 「……まるで忠犬みたいね」  たしかに。  でも、今は……ちょっと違う。 「でもあれから……なんていうか、どんどん強引になってきて……」 「それが嫌なの?」  宮坂さんが聞く。私は小さく首を横に振った。 「戸惑いますけど、でも嫌って思ってない自分がもっと嫌と言うか。でもそんなことを認めると、どんどん平穏じゃない方向に流されるのが怖いと言うか……」  平穏な、平凡な日常が崩れていくのが怖かっただけなのかもしれない。  あれから先輩のせいで、すでに毎日、平穏ではない日々だ。ダイヤの指輪とか、マンションとか、果ては、池と鯉。しかも世話係が自分って……。そんなことを思い出し、思わず吹き出しそうになった。  そんな私を見て、宮坂さんは呆れたように笑う。 「なんだ、結局のろけてるだけじゃん」 「のろけてませんって!」  断じてのろけてなどない。と思う。でもたしかにちょっとのろけた?  そう思うと、非常に恥ずかしくなった。
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