8章:交際スタート

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 そんなことを考えながら会社のビルを出ると、みゆ、と私を呼ぶ声が聞こえて、 どきりとして声の先を見ると、先輩が立っていた。  金曜にまた来そうな予感がしてたけど、その予感は外れたらしい。  嬉しいほうの誤算だ、と思ってから、私は嬉しく思っているのか、と自分の感情にやけに驚いた。  先輩は驚く私を見て笑うと、 「仕事ちょっと早く切り上げられたからさ。一緒に行くのは断られても、一緒に帰るなら帰ってくれるかと思って」 と意地悪く言う。  そのせいでまた朝のキスを思い出した。  先ほども思い出しているのに何度思い出すのだろうか。先輩のこと言えないくらい、私は変になってきているのかもしれない。
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