8章:交際スタート

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 熱に浮かされて、うんと言ったのか、言えなかったのか……  とにかく何も覚えてないけど、先輩の家に一緒に歩いたのは覚えている。 「ちょ、待って……!」  先輩の部屋に入って扉が閉まる瞬間、玄関で靴も脱がないまま、頭の後ろに手を這わされ、そのまま有無を言わさないようなキスを交わされる。くちゅ、と唾液の混じるような音がして泣きそうになったところで、やめてくれるわけでもなく、何度もキスを交わし、やっと唇が離れた。 「待たないって言ったでしょう? もう付き合ってるんだよ?」  先輩は自信満々に言う。  うぅ……なんかこの人に自信を与えてはいけなかったような気がしてきた。 「でも、ここ玄関だし」 「うん、だから、ごめん」 「明日も会社だから……」  だってまだ月曜だしね……?  そう思って、泣きそうになる。  やっぱり平穏な毎日じゃないですよね! なのに私は先輩との日々が必要なのだと、これを自分で選ぶようなことをしたのだ。
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