9章:彼の事情

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 すると先輩は後ろから、私の身体をぎゅうと抱きしめると、 「あのね、みゆ。そのままでいいから聞いてくれるかな。みゆに言っておきたいことがあるんだ」 と優しい声で言った。  その言葉になんだかドキリとする。  出会ってから先輩には驚かされっぱなしだから。  飛び蹴り事件から12年不能とか、あれ以上に驚くことはないだろうけど……。  そんなことを思って、なんですか? と問うた。
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