9章:彼の事情

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「実は俺、鳳(おおとり)家の次男なんだ」  先輩はさらりと言う。  あまりにも普通に告げられて聞き流しそうになったけど……。 「そうなんですか。鳳家の……」 「うん」 「お、鳳⁉」  あまりに驚いて飛び起きてしまった。  あわててシーツを手繰り寄せ、身体に巻き付ける。すると先輩も起き上がり、まっすぐ私の顔を見てにこりと笑って、そうだよ、と私の髪を撫でた。
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