9章:彼の事情

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 先輩はまた、ごめん、と言ってから、 「でも、みゆには知っておいて欲しかった。言ったでしょう。結婚を前提に、って」 「……まだ付き合いだしたばっかりだし、結婚とか……もっと普通の年月交際してから、一から考えればいいんじゃないんですか」    私だって、先輩が思っていたような女じゃないかもしれないし。  今すぐ判断する必要なんてないんじゃないかな。  そんなことを思って言うと、先輩の眉が不機嫌そうに動いた。そのしぐさに、ドキリとする。そもそも、これ私が悪い案件⁉ 隠してた先輩の方が悪くない⁉ (私だって、そんな人と結婚とか、ちょっと荷が重すぎるんですけど……)
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