10章:変化

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「……副社長は、羽柴先輩のお兄さん、なんですよね……」 「ん? 聞いたんだ。そうだよ、かわいいでしょ。うちの弟」 「かわいい、でしょうか」  かわいい、とはちょっと違う気がする。  でも、兄から見るとかわいい弟なのかもしれない。8歳離れていると言ってたし。じゃ、副社長って38歳なんだ。まったくそうは見えない……。  そんなことを思っていると、 「うん、あれで結構一途なとこがあるんだよねぇ」 と私の顔を見た。  そして続ける。 「そういえば思い出したんだ。健人が高校の時、入院したときさ、お見舞いに来て、結局お見舞いしてかなかった子、きみだよね?」  そう言われて、私は焦った。  たしかに先輩の病院に何度か行った。あの飛び蹴り入院事件のあとだ。  でも、私は日和って先輩に会えずに帰ってしまったのだ。 (まさかそんな場面を見られていようとは……)
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