10章:変化

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 みんなが会議室を出た後、最後の片づけをしていたら、「ちょっとだけいい?」 と先輩に手を掴まれた。  振り返ると同時に、軽く唇にキスを落とされる。慌てて周りを見回すと、誰もいなくてほっとした。 「な、な……! ちょ、ここ会社! こういうのやめてください!」  慌てる私に、 「油断してるからだよ」 と先輩は笑う。その声にむぅと、頬を膨らませた。  そして先輩は私の持っていたファイルをひょいと手に取ると、 「いつでも入ってていいから」 と言ってファイルをまた私の手の中に戻す。 「どういう意味……」  聞きかけたその時、ちょうど春野さんが来て、私は慌てて会議室を後にした。
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