10章:変化

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 悩んだ末、結局、春野さんとのことも心配になってしまって、その日、私はそのカードキーを一人で初めて使ってしまった。  先輩の家は広いから、一人でいるとなんだか心細い。  そして、待っていても先輩は帰ってこず、時計を見ると21時を回っていた。 「遅い……」  このまま待っていていいのだろうか。まさか、今日の今日で来るとは先輩も思ってないのかも。しかも21時も過ぎてまだいるってどうなんだろう。私って重い女だろうか。  って言うか先輩も先輩でなんでこんなに遅いのよ! もしかして、春野さんと何かあったのだろうか……。何かあったとしたら……どうしたらいいんだろう。  色々考えて、私は立ち上がると、 「もう帰ろう。お父さんも心配するし」 と独り言を言う。もし何かあったとしてそれを聞かされるのもたまったものではない。  今日は父は夜に帰ってくる日だし、とにかく父を自分の中の帰る言い訳にして、家に帰ることに決めた。
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