10章:変化

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 静かに車を発進させた先輩と私の会話は、なかった。  二人とも黙りこくる。  会社が近づいてきた道沿いで、 「俺はね、もうみゆとのタイミングは間違いたくないんだ」 と先輩ははっきりと言った。  でも、私はどんどん近づいてくる会社を前に焦っていた。これ以上近づいたら、会社の人に見られるかもしれない。 「もうこのあたりで下ろしてください!」  叫んだ私の声に、車は道端で止まった。私は心底ほっとした。  ちょっと人通りの多い道だが仕方ない。出ようとすると、車は鍵が開かず、出られなくなっていた。
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