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11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない
掴まれている腕が痛い。濃厚なキスにぼんやりとする頭をなんとか正常に戻して、先輩のキスから逃れようとしたけど無駄だった。
先輩の右手がするりと背中に直接入る。その感触に余計慌てて、混乱して、私が思わず唯一動く足で先輩を蹴ろうとすると、先輩はそれも制するように、足を抑える。そして不機嫌そうに眉を寄せた。
「昔からヤンチャな足だよね」
「先輩が変なことするからっ!」
(昔も今も……先輩が悪いんじゃないの⁉)
泣きながらそんなことを思う。
意味が分からなかった。
先輩の不機嫌な意味も、こうやって、外で人の気配を感じながら車の中でされるキスも。どうしてこんなことされるのかも意味が分からない。
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