11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

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 春野さんとは本当に何もなかったんだ。  私がその事実にほっとして静かになると、先輩は急に楽しそうに笑いだした。 「な、何笑ってんですか⁉」 「ごめん、嬉しくて」 「はい?」  先輩はずっとにこにこしている。さっきまでの顔と声と大違いで、私は眉を寄せた。 っていうか、なんかすっごい居心地悪いですけど!  私が先輩を睨むと、先輩は私の頭を優しく叩く。 「だって、みゆがヤキモチ焼くなんて思ってもなかったから。春野さんのことはちょっと鬱陶しいときもあるけど、今回だけは彼女ファインプレーだなぁ」 「はぁ⁉ ヤキモチなんかじゃないですから!」  思わず突っ込んでいた。ヤキモチなわけない。  先輩がわけわかんない事ばかりするからだ。いつのまにか先輩のことばかり考えているのは認めるしかないが、それはヤキモチとかそういうのではない。断じてない。
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