11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

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 って何言ってんだろう。先輩もきっと呆れてる。こんなしょうもないことを考えていた私は面倒な女だ。  そう思ったとき、先輩は私を抱きしめ、 「はぁ……」 と息を吐く。 (ほらやっぱり呆れてますよね⁉)  そう思ったとき、 「ちょっとさ、みゆ、この場と発言内容、ちゃんと考えてくれない?」 と言うと、そのまま私の耳に唇を這わせた。 「ひゃぅっ……!」 「もう完全にやばい。このまま今日会社さぼってみゆを全部貪りたくなってきた」  先輩の熱い吐息が耳にかかる。 (って、先輩は私に呆れてたわけではないんですか⁉)  驚いて先輩を見ると、先輩と目が合う。先輩の熱っぽい目に、なんだか脳の芯までやられそうになる。 (それでもいいか……先輩となら……)  こんな朝の、しかも人通りもある道の近くなんてこと忘れそうになる……。先輩の背中に手を回そうとしたところで、はっと目が覚めたように意識がはっきり戻ってきた。 (って、いいわけあるかーーーーーーー!)  私は慌てて先輩を押すと、 「だ、だめですって! 何言ってるんですか! みんなに迷惑かかるでしょ!」 と叫んだ。 (わーあっぶなかったー! すっかり絆されるとこだった!)  これだから無駄にイケメンの顔面は有害なんだ。
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