11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

9/16
前へ
/302ページ
次へ
 私が慌てて車を出ようとすると、 「みゆ。今日の帰り迎えにいく。今週は日曜まで、俺にみゆの時間を頂戴」 と先輩が言った。 「日曜までって……」  それはつまり、日曜まで一緒ってことですか?  胸が痛いほど大きく高鳴る。でも、嬉しいって思ってる自分もいるような、いないような。  そんなことを思ったとき、先輩はクスリと笑って、 「みゆが疑う余地もないくらい、分からせてあげたくなっちゃった。俺はみゆしか見てないし、みゆだけをずっと独占してたいってこと、分かるまでいくらでも付き合うよ」 とはっきりと言ったのだった。  その内容に大きな不安も感じつつ、返事ができないでいると、先輩は私の髪をなで、 「じゃ、みゆ、いってらっしゃい」 と頬に当たり前のようにキスをする。  やっと開けられるようになった車のドアを開け、私は車外に出ると、振り返ることもせずにダッシュで会社に走っていた。 ―――ちょっと待って! 私また何か、間違った気がする……! どこで間違った? 何を間違ったの……⁉
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

899人が本棚に入れています
本棚に追加