11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

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 その日会社にいてもずっと落ち着かなかった。  まず思い出すべき大事なことは、今日の下着の色だ。イエロー? ぎりぎりセーフだ。いや、なんでそんなこと先に考えてんだ!  もう完全に先輩に毒されている……。先輩はそういう事するなんて言ってない。でも、絶対そういう事になるってわかる。  色々考えをめぐらし一日を終えた時には、ぐったりしていた。もう完全に社会人失格だ。これまで仕事一筋って感じではなったけど、でも、仕事は普通にまじめにやってきた。なのに今の自分はどうだ。先輩といると根幹から揺らぎそうで怖い。あれだけ先輩にばらすなと言っておいて、いつか自分のせいで周りにバレるのではないかと冷や冷やする。  すでにぐったり疲れていて、正直家に帰りたくなっていた。あの少し抜けているが、非常に人畜無害な父が恋しくなってきたのだ。どうやら私はちょっぴりファザコンらしい。  そしてそんなことを考えながら社屋を出たとき、そこにいた、『ものすっごい』ご機嫌な先輩の顔を見て、本能的に逃げたくなったのだった。
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