11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

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 私は泣きながら、 「謝るくらいなら最初から言わないでください!」 と言うと、シーツを身体に巻き付け、もうやだ。帰る、と叫んだ。 「うん、分かってる。夕方送るからね」 「やだ。今すぐ! 寝たいもん。ゆっくりしたいもん!」 「ここでゆっくりすればいいじゃん」 「落ち着かない! 先輩ヘンなことばっかするし!」 「ヘンじゃないでしょ。みゆの全部愛したいだけで」 「あぁ! もう! ああいえばこう言う!」 (もう一体何なんだ!)  なのに完全に怒り心頭の私を先輩は大事そうに抱きしめる。  そして腕の力を強めると、 「みゆ、わかった? 俺がみゆのことだけ愛してるってこと」 と耳元で聞いた。その低くて熱っぽい声に反応して、いちいち身体が熱くなる。  なにこれ、パブロフの犬か。怖い。羽柴先輩怖い。 「わ、分かりたくないけど、わかりました!」 「うん、いいこだね」  そう言って頭を撫でられる。その手のぬくもりに一瞬絆されそうになった。  ナニコレ、子ども扱い? むっとして見上げると、また楽しそうに笑われる。  いちいち、そんなに嬉しそうにしないでよ。  許してしまいそうになる。  いや、でも、絶対に許してはいけない。これ流されてこのままこんなことが続いたら確実に死亡案件だ。
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