1章:最悪な再会とあの日の続き

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 すると、先輩が驚く気配がして、私は唇を離そうとする。  本当にされて驚くくらいなら変なこと言わないでよ、と思った次の瞬間、頭の後ろを掴まれると、するりと舌が口内に入り込んできた。驚いて唇を離したかったけど、それは叶わなかった。  その間にも何度も角度を変えされるキスに翻弄されていると、先輩の左手は私の右手をゆっくり這い、指をからめとる。  その先輩の指の熱の感覚が妖艶で、今、キスしていることがやけに実感として沸いてきて、私は顔を真っ赤にした。だめだ、これ。まずい。私は、思わず思いっきり先輩の唇を噛んだ。  するとやっと唇が離れ、ちょうどエレベータが1階につく。私は先輩を睨むと、 「これで、あの時のことはチャラってことでいいんですよね」  と言って、くるりと出口に向かって走り出した。 「ほんとにするんだもん。驚いたなぁ」  先輩の楽しそうな声が後ろから聞こえる。  その瞬間、はらわたが煮えくりかえりそうになるけど、ぐっとこらえて、そのまま振り返らずに走った。  私はあの時から、いや、今でもずっと ―――羽柴先輩なんて、大嫌いだ!
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