11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

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 そんな私を見て、先輩は訝し気に眉をよせた。そして明らかに不機嫌なオーラが先輩から発せられる。 「え? 何その反応……」 「い、いや、なんでもないです」 「心なしか喜んでない?」 「まさか!」  そう言ったけど、声が裏返った。  また先輩が不機嫌そうに眉を寄せる。 「みゆ?」  名を呼ばれて背中に冷や汗が流れた瞬間、世界がまた反転した。  金曜から見続けてる先輩の家の寝室の天井と、先輩の顔が交互に見える。 「ちょ、なんですか!」 「まだ俺の愛が伝わってなかったのかなぁって思っただけ」 「イヤ、だから十分に伝わって……んんっ!」  また強引なキスに驚いて先輩を見ると、先輩は当然のように舌を差し入れてきた。 「せ、先輩っ」  そのまま、キスは首筋に、胸に落ちてくる。  暴れても先輩はまったくやめてくれることはなかった。  そしてまっすぐ私を見つめると、 「やっぱ帰るのは夜ね。みゆがこの一週間、他の男なんて目に入らないほど俺のこと覚えていられるようにしとかないと」 ときっぱりと言う。 (もう正直、男も、愛情もこりごりですーーーーー!)  そんな言葉は、言葉にならない自分の声によってかき消されることになる。
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