12章:外堀の埋まる音がする

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 冷や汗が背中に流れた。  社長は私が原因と言う事には知ってか知らずか触れず、続ける。 「健人の場合、精子だけを採取しようと思えばできるのですが、『無理矢理そのようなことをさせようとするならば精巣すべて摘出する』とあの子は言い張った」 「……」 (なんてことを言い張ってくれてんだ……。あの先輩は……)  そして社長の目が私を捉えた。そこから目をそらしたいのに、目がそらせない。 ―――どうしよう、この先は、聞きたくない気がする……!
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