12章:外堀の埋まる音がする

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 頭の中で、ガガガガガ……と不快な音が響く。  なんだろう、今、完全に混乱している。  心の中では、もうやめてくれ! と思ってるのに社長の社長らしすぎる圧のある雰囲気に声が出せない。  そして社長は無情にも口を開くと、 「相手は柊みゆさんのみ。あなた以外は絶対に反応しないし、あなた以外と子作りをするつもりもない、と健人は言っているのです」 「えぇぇぇえええええ…………」  なぜか泣けた。たぶん、嬉しさとは全く違う意味で。  それをなにと勘違いしたのか、社長は、うんうん、と嬉しそうにうなずく。 (え、何に頷いてるの? このオッサン……いや、社長は……)
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