13章:不安と喧嘩と仲直り

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―――相手は柊みゆさんのみ。あなた以外は絶対に反応しないし、あなた以外と子作りをするつもりもない、と健人は言っているのです。 ―――健人はね。『キミといる未来』以外の可能性を、1㎜も考えてもいないんだよ。  その時、社長と副社長の言葉が頭を回る。  お兄さんも、お父さんも結婚について賛成して後押ししてくれてるけど、私はまだその期待に応えられない。  私にとって、それはまだ、重すぎる。  そんなことを思う私が、今、先輩とただ一緒にいたいって思うのは、わがままなのかなぁ……。  そう思いだすと止まらなくなった。  こんな優しい相手なのに、私はまだ結婚や子どもの話は『重い』だなんて思ってるから。  決められている、期待されている、未来が重い。
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