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「みゆ、何言ってんの? ……どうして?」
先輩の声が低くなる。
「子どものこと、副社長からも聞きました」
「一樹から『も』って?」
「……」
「まさか社長?」
私は息をのむ。すると先輩は私の頬を撫でる。
「驚かせてごめん。騙してたつもりはなかった。けど一緒でしょ。結婚したら子どもだって考えるわけだし。もちろんできない可能性だって考えてるけど、俺はみゆとしかそういう気も起きないし、子どもも他の女性となんて作る気もない」
とはっきりと言う。
(先輩はもうそんな風に自分だけ決めちゃって……迷いもない)
私は先輩を睨んで言う。
「でも、子どもありきで結婚するのは違うんじゃないかなって思うんです」
「俺は欲しいよ。みゆと俺の子ども」
「それは後継ぎのためですか? お兄さんのためですか?」
「そんなわけないでしょ」
先輩はまっすぐに私を見た。
「純粋にみゆと一緒にいたい。みゆが好きだし、愛してる。みゆと自分の愛し合った証だってほしい。それで、みゆと俺の子どもを望むのがそんなにおかしい?」
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