13章:不安と喧嘩と仲直り

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「先輩は、高校の時もとびぬけてモテてた」 「みゆだってモテてたよ」 「モテなかったですけど。私は普通にモテてませんでした!」 「俺が潰してたからね」 「なにそれ……」 「知らないのはみゆだけだよ」  意味が分からない、とむっとして返す。 「先輩は足も特別速くて」 「みゆだって速かったでしょ」 「でも先輩は鳳家の次男で」 「みゆだって刑事の娘でしょ」 「刑事はただの公務員ですっ!」  私は怒って返した。 「うそ。みゆのお父さん、連続殺人犯何度も捕まえて、異例の速さで刑事部長になった柊風太だよ」 「なにそれ。お父さんは刑事でも生活安全課のヒラだし!」 「むしろみゆ、そんなことも知らなかったの?」 「先輩、うそばっかり!」 「嘘は何もついてない」  言い返す言葉がなくなって、私は思わず、 「先輩なんて大嫌い! もう別れる……!」 と叫んでいた。  これで、先輩が別れるって言うならそれでいいと思っていた。  さっきから、自分が言ってることも無茶苦茶で支離滅裂だ。  途中から、自分が何を怒っているのかわからなかった。こんな女、先輩だって、嫌に決まってる。  どうせ私はかわいげも決断力もない女だよ……となんだかふてくれされたような感情が頭を回った。
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