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その時、突然身体を抱きすくめられる。それをしたのは、もちろん先輩で……暴れてみても、まったく先輩の腕の力は弱まらなかった。
「そんな勢いでみゆと別れるようなこと、俺がするわけないでしょ」
そして続ける。「みゆが俺のこと嫌っても絶対に別れない」
「な、なにそれ……おかしいですよ。普通じゃない」
私が言うと、先輩は耳元でクスリと笑って、
「うん。俺の愛情の重さは『普通じゃない』よ。もしみゆが俺のことを本当に嫌いになっても、みゆが俺のこと好きになるまで何年かかっても、俺はみゆに俺のことをもう一度好きになってもらうくらいの覚悟はある」
と言う。
先輩はおかしい。こんなこと言う私をまだ好きだなんて……。
先輩はぎゅう、とまた私を抱きしめると、
「さっき不安だった。みゆが俺から離れようとしてるのかな、って思ったら不安で仕方なかった」
そして、髪を優しく触った。「そもそも最初に俺が『結婚したら、』って話しをし出したからだよね。どうしてもみゆとこれからも一緒にいたいから、つい、結婚とかそういう話を出しちゃうのは……無意識なんだ。ごめん」
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