14章:同棲スタート?

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 私は子どもじゃないから、戸締りだってちゃんとするし、最悪防犯ブザーもスマホもあるし……。事情がよくわからないだけに余計にそんなことを思う。 「えっと、私、一人で大丈夫だよ?」 「「だめ!」」 「って二人、声、かぶりすぎ……」 「だめだよ、みゆ」 「そうだよ、うちはこの通りセキュリティもないし」  父と先輩はいつの間にか同意見だ。  二人、そんなに仲良かった? 「でも、私もう大人だし」 「だから心配なの」 「いざとなれば私だって逮捕の役に立てるかも」  私が言うと、 「絶対にだめ!」 と父は厳しい口調で言った。そして私の肩を掴むと真剣な目をして続けた。 「世の中みゆみたいな人間ばっかりじゃないんだ。みんな事情を抱えて、それを乗り越える人もいれば、ぶつけどころがなくて逆恨みのような行動に走ってしまうこともある。相手も自分と同じ行動をとると思わないほうがいい」  こんな風に真剣なまなざしで言う父が初めてで……  私は言葉に詰まる。  そしてその言葉の本当の意味は全部理解できなかったけど、私はその様子に、わかった、と頷くしかできなかった。
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