14章:同棲スタート?

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「なんで隠してたの?」  私は思わず聞いていた。 「ママに隠してほしいって言われてたんだ。それがママとの約束だったから、必死で隠してたんだよ」 「えぇ……」 (ママ、なんてこと頼んでるのよ……!)  そんなことを思った私を知ってか知らずか、父は苦笑して続ける。 「実は昔ね、小さい時、みゆが誘拐されかけたことがあって……」 「誘拐……?」 「うん。それで、事件とかそういう言葉に、すごく不安がった時期があったんだ。だから、みゆができるだけ忘れられるようにって隠すことにした。ただ、刑事っていうのはさすがに隠せないから、生活安全課ってことにして……」 「それいつの話? 私完全に忘れてるんだけど……」 「5歳。幼稚園の時だよ」 「……そう」  しかも誘拐されかけただけで、何かされたわけでもないようだ。それが5歳のことなら忘れていても不思議ではない。実際今はきれいさっぱり忘れている。父と母の愛情のおかげもあるのかもしれない……。
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