14章:同棲スタート?

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 でももう一つ不思議なことがある。 「じゃ、なんで今言ったの?」  これだ。  なんで今、教えてくれたんだろう。 「ん? その話にはもう一つ続きあってね。『みゆがずっと一緒にいたいと思えるような、大事な人をみつけるまでは』って決めてたんだ」 「大事な人?」 「うん」  父は頷くと、羽柴先輩の方を見る。  私はそれを見て、 「ま、まさか羽柴先輩のこと⁉」 「え、ちがうの?」  父はきょとんと私の方を見る。  でも、それは、確信を持った目で……。 「……ちが……わなくないけど」  私はつぶやく。  父にまでこんなこと知られて恥ずかしいやら、複雑な気持ちだった。  でも……それを否定するだけのものは私にはない。だって実際にそうなってる。 すると、先輩はするりと私の手を握った。 「みゆさんのことは、お任せください」 「お願いするよ」  それがまるで、結婚式に花嫁をお願いする父のようだと、そんなことが頭によぎった。
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