15章:ずっと一緒に

2/7
前へ
/302ページ
次へ
 とにかくそんなSPに囲まれているものだから、会社では噂の的になった。  『実は天皇家の人間じゃないか』とか、『石油王に嫁入りするんじゃないか』とか訳の分からない噂まである。  そんな噂が全部自分に向けられたものだなんて、もう毎日泣きそうだ。 「しかも……」  言おうとしたとき、みゆ、と声がかかる。 「ひっ!」  見てみるとやっぱり羽柴先輩だった。最近出現率が高い。 「今日はこっちで打合せなんだ。終わるの夕方だから、一緒に帰ろう」 「だからそうやって急に現れないで! ってなんでここが分かったの!」 「そりゃSPにはみゆの居場所常時教えてもらってるからね。とにかく約束だよ。忘れないでね」  そう言って羽柴先輩は歩いていく。みんなの目線がこちらに向いていたのに気づいてまた泣きそうになった。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加