2章:平穏でない日々と告白

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「私と先輩が知り合いだって、みんなには言わないでください。部長も配慮してくれてて」 「なんで?」  羽柴先輩は心底不思議そうに首を傾げた。 「先輩が相変わらずおモテになるからですよっ」 「関係ないでしょ」 「私には関係あるんです!」  私は小声で精いっぱい叫んで続ける。「とにかくあのことはもう償いました。だから私と先輩は、もうただの先輩後輩の関係です。それをわざわざ他人にまでひけらかす理由もないですよね」 「ふうん、そういうこと言うんだ。キスまでした仲なのに」 「だからそれはあの時のこと償え、って先輩が言ったからしたんですよね! 仕方なく!」 「全然良くなかった? あれから思い出しもしなかったんだ?」  そう言われて一瞬言葉に詰まる。  素直に、何度も思い出していました、とは言えない。
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