16章:俺と彼女と彼女の父親(side羽柴)

2/13
前へ
/302ページ
次へ
 高校3年生の時。  思い出したのは、あの時、あの瞬間。  高校生の頃の自分は、モテてるって自覚もあったし、自分の父親のことでイラつくことも多くて、女の子に誘われれば手を出すくらいのことは当たり前にしていた。  どこか世間を斜めに見ていた。どうせ大学を卒業すれば父の一族の会社に入ると決まっていることも知っていたから、余計だったのかもしれない。  自分では『自分はとっくに大人になっている。』と思ってて、かわいげもない高校生だったと思う。外面はいいくせに、内面では毎日やけにイライラしていた。  女の子とそういう事をする以外に、ストレス発散になったことと言えば、走ることくらいだった。だから陸上部にいたのだ。昔から走ることだけはなぜか好きだった。その時は単純に、何も考えないでいられるから走ることが好きなのだと思っていた。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加