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「あなた……あのときの? 会ったこと、ありますよね……」
混乱して、そんなことを言ったと思う。「昔……一度お見かけしたことがあって。小学生の時です。そのあと、テレビで見て……」
混乱したように俺が言うと、みゆの父は本当に驚いた顔をした。
「……もしかして、覚えてたの? 忘れてるんだと……」
「正確には、怪我をした時に思い出したんです」
ちょうど飛び蹴りされた時に見た夢。
女の子の手をつないで必死に走ってた小学生の自分。
「僕も君が、毎日みゆを家まで送ってきてくれてるのを見て、気づいて驚いた。あの時、君は自分から名乗り出ることはなかったし、どこのだれかもわからなかったから。それに、みゆは、本当にあの時のことを覚えてないし。それが理由にはならないだろうけど、なかなかお礼を言えなくて、申し訳なかった。だからきちんと言わせて。本当にありがとう……」
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