16章:俺と彼女と彼女の父親(side羽柴)

13/13

888人が本棚に入れています
本棚に追加
/302ページ
 そしてそれから強引にいってしまいそうな自分を押さえつけ、できる限り合法的な方法で、やっとみゆと付き合いだした。  みゆが俺をみて、怒ったり、笑ったりする顔を近くで見るだけで嬉しくて、絶対に結婚してずっと一緒にいたいと、再会してからより深く思った。  ただ、みゆは結婚にはかなり消極的だった。特にうちの家系のことも大きかったらしい。  そして『普通の年月付き合ってから結婚を考えたい』と言う彼女に、普通の年月ってどれくらいかと聞いたら……。 ―――普通だと最低2年は付き合って、婚約して半年後くらいに入籍? 子どもはその2年後とか。  あれには正直、驚いた。  自分はもう12年待っている。これからまた2年だなんて気が狂いそうだ。  かといって、高校時代のことを思えば、無理矢理に推し進めることもできなかった。ゆっくり、彼女のペースで、でも自分の気持ちや思いだけは何度も伝えていった。 ―――それでもし……。  もし、あのツンデレでなかなか本心を言ってくれない彼女が、自分から、俺と『ずっと一緒にいたい』と言ってくれたなら……。  俺はもうどう言われたって、すぐに彼女を捉えて、今までより少し強引に、 結婚も、子どものことも推し進めようと考えていた。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加