2章:平穏でない日々と告白

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「貸しって……」 「なんの得もなく、そんな意味のない事、俺がする理由がある?」 「先輩だって、私と変な噂が立つのは……別に得することもないでしょう!」  私は思わず先輩を睨んだ。すると先輩は驚いた表情で私を見る。 「何言ってるの?」  そして、続けた。「俺は、みゆにしか興味がない。会社中……日本中全員に公言したいくらいだよ。みゆにしか、『そういう気』が湧かないって」 「……な……!」  この人は何を言いだしたんだ! 日本中に公言って……まさかしないだろうけど、ほんとにやめてください!  私が固まっていると、先輩は私の唇を撫でる。そのしぐさに身体が跳ねた。 「あの時のキスで、もう一度確信した。やっぱり俺は、みゆしかダメみたい。みゆ、ありがとう」  意味が……意味が分からない……。  私が泣きそうな顔で先輩を見ると、先輩は楽しそうに笑っていた。
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