17章:注がれる愛が重すぎる

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 先輩は家に帰るなり、私の額に当たり前のようにキスを落とす。  それに私もくすぐったくて笑ってしまった。 「これからずっと一緒にいられるね」 「そうですね」  ふふ、と笑うと、先輩も楽しそうに笑ってくれる。  やっぱりその笑顔好きだなぁと思ったとき。 「最初から5日間ずっと一緒にいられるしねぇ」 と先輩は言った。 「5日……?」 「今日からGW、5連休」 「……ソウイエバソウダッタ」  すっかり忘れていたけど、世間はGWだ。  私はなんとなく嫌な予感がして、 「えーっと、いったん帰って。GW明けに結婚生活はじめませんか?」 と言うと、先輩は不機嫌そうに眉を寄せて、 「まさか」 と言い放った。 「うっ……」 「俺が、こんなチャンスに引く男だと思う?」 「お、思いません……」  泣きそうになった私に、 「そういえばみゆ、俺の愛が重くても諦めるって言ってくれたんだよね」 と先輩は微笑んだ。  それはまるで悪魔のような笑みで、私は背中からゾワゾワと寒気が走っていた。
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