3章:重過ぎるプレゼントと二度目のキス

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3章:重過ぎるプレゼントと二度目のキス

「横に座っても?」  歓迎会も後半に差し掛かり、そう言われて顔を上げるとやっぱり羽柴先輩だった。 「……」  私が返事できないでいると、羽柴先輩は勝手に私の左隣に座り込む。  私はすぐに先ほど羽柴先輩の隣にいた宮坂さんの席に目を向けると、宮坂さんはちょうどお手洗いにか、席を立ったところのようだった。 「あの、先ほど頼んだこと、了解されたんですよね?」 「普通、歓迎会の主役と話さないなんてことはないでしょ。話さないほうが意識しているみたいじゃない」 「そうかもしれませんが、すぐにあちらに戻ってください」  少し口調が厳しくなったのは酔いのせいもある。先ほどからやさぐれている私のお酒のペースは非常に速い。やさぐれている理由はこの先輩。 この先輩の言動すべてが、全くもって意味が分からないからだ。  先輩の予定を調べていたときに偶然知ったことだが、高校時代からさらに輪をかけて、羽柴健人その人は、日本中にその人気ぶりをひろげていた。yahoo検索結果に描かれている彼は、どれもこれも、品行方正・すばらしい人間のように描かれているのだ。  また若くして自分で法律事務所を立ち上げ、相談件数も増え、優秀な若い弁護士を一気に5名もスタッフとして増やしている。それに伴い、相談件数も、相談内容も大規模化しているとのこと。業績まで完全に軌道に乗っているのだ。ほんとにナンテヤツダ。  しかも、そんな人が ―――やっぱり俺は、みゆしかダメみたい。  なんであんなことした私にあんな告白じみたこと……。  私はこれまで絶対に彼に恨まれていると思ってた。  でも、なんだか思ってたものと違う気がする。だからこそ訳が分からない。つい、そのまま日本酒をぐいっと煽る。 ビールごときではこのモヤモヤは晴れない。あ、頭がぐらぐらする。二日酔いかな、と思ったものの、明日は土曜。とにかく今日は早めに切り抜けよう。
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