最終章:やっぱり先輩の愛はいろいろと重すぎる

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 先輩は私に麦茶と、一樹さんにコーヒーを出すと、 「それより、みゆがいつまでも仕事辞めないんだけどさ」 と愚痴るように一樹さんに言った。  それに私はむっとすると、 「仕事は辞めないって言ってますよね。せっかく仕事覚えて来たし、みんないい人だし」 と返す。 「ほら、またこれ。一樹からもなんとか言ってやってよ」 「あはは。かわいい義妹のお願い事はききたいから辞めさせられないよねぇ。それに社内で会えるのは嬉しいし」  そう。一樹さんは完全に私の味方だ。  あれだけかわいい弟、と評されていた先輩だが、軍配は私に上がったのだ。 「最近俺よりみゆの方が優位じゃない。気持ちはわかるけど」 「かわいいよねぇ、妹って」  そう言って目を細める一樹さんの顔は、先輩にちょっと似ている。  一樹さんの目は、完全にかわいい妹を見る目、そのものだ。 「二人の子どもも今から楽しみすぎてならないよ」  そう言って私のお腹を見た。
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