3章:重過ぎるプレゼントと二度目のキス

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 そんなことを考えていた時、突然、羽柴先輩に左手をとられ、羽柴先輩の手とともにテーブルの下に入れられる。  強引に指を絡められ、思わず手を振りほどこうとするが、まったく手は動かない。むしろ動かそうとすればするほど、酷く固く手はつながれた。  先輩の手の熱に浮かされ、頭がぼんやりとする。今、顔が絶対赤い。これはお酒のせい、お酒のせい、お酒のせい、と三回唱えた。 「離してください」 周りに聞こえないように呟いて、睨むと 「あ、そうだ。念のため、これ渡しとくね。俺の名刺。何かあれば携帯が繋がるから」  ねじ込まれるように、名刺をポケットに入れられた。うん? まぁ、それは確かにこれから仕事で必要になるだろうと、私はなんだか腑に落ちないながら、突き返すことはしなかった。  その時、宮坂さんが帰ってきた。私が慌てて思いっきり手を振ると、やっと先輩の手が離れる。  宮坂さんの表情が不審そうに曇ったのを察知すると、私は立ち上がり、薄手のコートとバッグをすぐに手に取った。
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